奈良弁護士会

0742-22-2035
会長声明

司法修習生に対する給費制の維持を求める会長声明

2010/07/13

奈良弁護士会
会長 朝守 令彦

2004(平成16)年成立の改正裁判所法に基づき、2010(平成22)年11月から司法修習生に対し給与を支給する制度(給費制)が廃止され、これに代えて、希望する者に対して修習期間中の生活費を国が貸与する制度(貸与制)が実施される予定となっている。

ところで司法修習制度は、司法修習生が将来、弁護士、裁判官又は検察官のいずれかになるかを問わず、法の支配を実現するために必要不可欠な我が国の司法制度を担う人材を養成するという極めて重要な役割を担っている。従って、こうした人材を国費で養成することは、国の当然の責務である。

これまでは、司法修習生を修習に専念させるため、兼職の禁止をはじめとする厳しい修習専念義務を課す一方で、その生活を保障するために給費制がとられてきた。給費制により、法曹資格は貧富の差を問わず広く開かれ、多様な人材が弁護士、裁判官又は検察官として輩出されてきた。

しかし、給費制が廃止され貸与制に移行すれば、経済的余裕のある者でなければ法曹になれないという弊害を招くことを避けられない。司法制度改革により、法科大学院制度が導入された結果、法曹を志すものは司法修習生になるまでに多大な経済的負担を負っている。現に日弁連が2009(平成21)年11月に新63期司法修習予定者を対象に実施したアンケート結果によれば、平均318万8000円、最高1200万円の奨学金の貸与を受けていることが判明している。この様な状況下で給費制が廃止されれば、さらに経済的負担の増大は避けられず、21世紀の司法を支えるにふさわしい資質、能力を備えた人材が、経済的事情から法曹への道を断念する事態も想定され、その弊害は甚大である。

給費制を廃止することは、高度の専門的能力と職業倫理を兼ね備えた質の高い法曹の養成を担ってきた司法修習制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題である。

よって、当会は、2004(平成16)年の裁判所法改正を見直し、貸与制を実施することなく、給費制を維持することを強く求めるものである。

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