奈良弁護士会

奈良地方裁判所の速記官増員を求める総会決議

  奈良弁護士会
会長 多田 実
総会出席者一同

 

奈良地方裁判所(本庁)においては、2001年(平成13年)4月より速記官配置が大幅に削減されて1名体制となった。また、最高裁判所は、1998年(平成10年)4月以降、速記官の新規養成を停止している。

しかし、速記官制度は、今後の司法制度改革において実現されるべき迅速かつ適正な裁判の実現に必要な裁判記録の正確性、公正さを担保するとともに、「裁判員」制度の実現など国民の司法参加が強く求められている現在において必要不可欠な制度である。かかる観点から、当会は、質の高い裁判制度を維持するためには、速記官制度の維持と速記官の奈良地方裁判所への複数配置が必要であると考え、増員を求める申し入れを再三にわたり行ってきた。このような速記制度の優れた正確性、迅速性は、録音反訳方式でもって代替可能なものではない。

しかも速記官1名体制が続く中で、配属された速記官自身が過酷な労働条件を強いられている。また、速記官の連続業務を避け休憩を確保するため、例えば民事事件の証拠調べにおいて尋問が中断されたり、十分な尋問時間が確保できず期日が続行されることも生じている。かかる事態は円滑かつ迅速な裁判の要請にも逆行するものである。

当会は、以上のような認識のもと、昨年12月開催の「第一審強化方策奈良地方協議会及び司法関係合同協議会」でも改善を求めたほか、本年1月23日に速記官の増員を求める常議員会決議を行い、最高裁判所、奈良地方裁判所等への重ねての申し入れを行った。しかるに、未だ速記官の増員、複数配置が実現されないことはきわめて遺憾である。

よって、当会総会出席者の全員一致により、現場の実態に照らして必要不可欠な奈良地方裁判所配置の速記官を速やかに増員し、複数体制とすることを強く求め、本決議を行う。

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