奈良弁護士会

「少年法等の一部を改正する法律案」の参議院での慎重審議を求める会長声明

奈良弁護士会
会長 田中 啓義

現在、少年法のいわゆる第2次改正法案が衆議院を通過した後、参議院において審議されようとしている。

当会は、「奈良県少年補導に関する条例」に反対する活動を通じて、子どもたちが広く無限定に警察官の規制・取り締まりの対象となることに対し警鐘を鳴らしてきた。また、同時に、問題を抱えた子どもたちにとって本当に必要なのは、子どもの人格を尊重しその健やかな成長を支援する福祉的施策であると主張してきた。

したがって、上記の改正法案において、特に、当初の政府提出法案から「ぐ犯少年である疑いのある者」に対する警察官の調査権限を定める点が削除されたことは評価に値する。

しかし、一方で、同改正法案は、少年院送致年齢の下限の引き下げ等を未だ含む点で、立法事実の検証がなされていないにも拘わらず厳罰化の発想を残すものであ り、この点は賛成できない。また、触法少年に対する警察官の調査権限を定めるにも拘わらず、調査への弁護士の立会いを認めるないし調査の全過程をビデオ録画するといった「可視化」については何ら手当てがなされておらず、この点でも問題点を残す。

したがって、当会は、参議院において、これら改正法案の問題点について、より一層慎重な審議が行われ、全ての問題点が解消されることを要望する。


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