奈良弁護士会

借家人が家賃を支払わない

相談者の模擬事例をご覧頂けます。


私は、父から相続した土地に賃貸マンションを建てて、その家賃で生活してます。ところが、1年前にある女性に一部屋貸したんですが、家賃を受け取ったのは最初の3か月だけで、その後は何回催促しても支払ってくれません。出て行ってくれというと、女性の主人らしいヤクザ風の男から、立ち退き料を出せ、と言われる始末です。

もし、ヤクザが入っていると噂になって、新しい借り手がいなくなったら死活問題です。思い余って、弁護士に相談し、まず、内容証明郵便で、滞納している家賃を1週間以内に支払わないと賃貸借契約を解除することを通知してもらいました。

それでも相手は支払わないので、次に保全処分として占有移転禁止の仮処分の手続きをとってもらいました。相手方に暴力団員風の男がついていて、家屋明け渡しの裁判中に第三者がマンションに入り込んだりしたら、その者に対しても別に裁判をしなければならなくなって、解決が遅くなる恐れがあるので、保証金や費用がいるけれども念のためにしておく、ということでした。

この仮処分の執行は、裁判所の執行官にマンションに行ってもらい、仮処分決定の公示をしてもらうのですが、それがなされると、相手方があきらめて家屋を明け渡すことも少なくないそうです。仮処分の執行後、家屋明渡請求訴訟を提起してもらい、裁判所での審理の結果、本件家屋(マンションの1室)を明け渡せ、との判決が出ました。

なお、訴訟提起後でも、訴訟上の和解が成立し、相手方が任意に家屋を明け渡すこともあるそうです。私の場合は、きっちりと手続きを踏んでいたせいか、相手方は何の反論もせず、裁判にも欠席し、1回で結審となり、次の期日にはもう判決が出たのです

判決が確定した後、相手方を強制的にマンションから立ち退かせる手続きである家屋明渡の強制執行を申し立ててもらいました。最初、執行官に明渡しの予告に行ってもらいましたが、その時点で任意に出ていくこともあるそうです。私の場合は強制執行までしたのですが、相手方は特に抵抗することもなく出ていきました。

抵抗されたときのことを心配していましたが、執行官は、警察の協力を求めることもできるそうで、心配はいらないとのことでした。ある程度の時間と費用はかかりましたが、無事にマンションを明け渡してもらうことができ、心配事もなくなり、安心して生活できるようになりました。