市民に利用しやすい司法を実現するため、司法に関する諸問題について調査・研究・提言等の活動を行っています。
司法問題委員会は、「市民に利用しやすい司法」を実現するため、司法に関する諸問題について、調査・研究・提言等の活動を行っています。
現在、当委員会が取り組んでいる主な課題は次のとおりです。
- 裁判官の評価
司法が市民に利用しやすいものであり、市民が信頼できるものであるためには、裁判官がそれぞれ自己の職務を振り返り、その質を向上させることが重要であり、それには、利用者である当事者や代理人の評価をフィードバックすることが必要です。
そのために当委員会は、奈良弁護士会の会員である弁護士の皆さんに対し、裁判官評価情報の提供を呼び掛けています。
また、当会独自のものとして、奈良地・家裁管内から転出された裁判官につき、会員からのメッセージを募集し、これを当該裁判官に直接お送りする活動も行っています。 - 外国籍弁護士の調停委員の実現
調停委員には多くの弁護士が就任していますが、現在、外国籍である弁護士については、弁護士会から推薦しているにもかかわらず、いわゆる「当然の法理」を理由として、最高裁判所から調停委員になることを拒否されています。
市民のためを考えれば、調停委員について、日本国籍を有する者に限る理由はありません。
当委員会は、外国籍弁護士の調停委員の実現を目指しています。 - 裁判所構内での説明
私たち弁護士は、依頼者等が同行している場合には、裁判の期日終了後にその日の審理内容や今後の予定等を短時間説明します。
ところが、多数の裁判当事者や傍聴者らがいる事件では、奈良地裁本庁では、これを総務課職員が執拗に妨害・制止するという事例が起きています。
裁判所は、裁判手続を利用する市民のためにあるものですから、当日の審理内容などについて、当事者が弁護士から説明を受けられることは当然といえます。
当委員会は、裁判所が当事者への説明を妨害することについて、裁判所に抗議し、裁判所との協議を続けていきます。 - 法曹養成問題
近年、司法試験合格者が増員されていることから、弁護士の数も増え続け、現在は4万人を超えています。弁護士が増えすぎたのではないか、質が低下しているのではないかという声もあります。
また、法曹を志望する学生が激減しており、この傾向が続けば、弁護士、裁判官、検察官の質を維持できるのか懸念されます。
司法の担い手をどのように養成していくのかは、とても重要な課題であり、当委員会でも議論をしています。 - 支部問題
奈良県には、奈良市内に本庁(地裁、家裁、簡裁)が、大和高田市に葛城支部(地裁、家裁、簡裁)が、五條市内に五條支部(地裁、家裁、簡裁)があり、宇陀市内に簡裁、吉野郡に簡裁と家裁出張所がありますが、本庁と葛城支部を除けば、裁判官が不在となる日があります。開廷日はまちまちです。
また、労働審判や裁判員裁判は本庁でしか行われていません。
このように、裁判官の配置やその取扱内容には差異がありますが、市民に利用しやすい裁判所であるためには、裁判所へのアクセスが容易であることや、支部の人的物的設備がどの裁判所においても充実していることが重要です。
当委員会では、裁判所の配置や人員、設備について、さらなる改善を求めています。